本当にあったパチプロのはなし

ちょっと変わった経験談や、ギャンブルとの向き合い方について書いています。

大嫌いだったジェンティルドンナの引退式で号泣した理由

昨日は今年初となる3歳馬限定重賞「シンザン記念」でした。

 

勝馬は2番人気の牝馬サンクテュエール。

牝馬の同競走優勝は、三冠牝馬で顕彰馬にも選定されたジェンティルドンナ、同じく三冠牝馬で現役最強とも言われるアーモンドアイに続くものだそうで、牝馬クラシック戦が楽しみになる一頭ですね。

 

ジェンティルドンナが大嫌いだった

久しぶりにジェンティルドンナの名前を聞いて思い出したのですが、私はこの馬が大嫌いでした。馬券でいつも泣かされていたからです。

 

「流石に牝馬三冠といえどもジャパンカップは無理だろ。普通にオルフェだろ。」

と思い軸から外した2012ジャパンカップではまさかの1着。

 

「流石にこのメンツなら頭だな。銀行馬券あざす!」

と思い頭にした京都記念ではまさかの着外。

 

「流石にジャパンカップなら外せない。天皇賞も強い競馬だったし。」

と思い軸固定した2014ジャパンカップでも着外。

 

見事に私の予想の裏をかく一頭だったんですね。

 

2012ジャパンカップでのオルフェーブルへのタックルのダーティーなイメージ。1番人気での惨敗。G1としては平凡なタイム。勝ち方が地味。

世間での人気も実績から考えると今ひとつでした。

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2014年12月28日有馬記念

そんなジェンティルドンナの引退レースは今から約5年前、2014年の有馬記念。

 私はその日、中山競馬場にいました。

 

当然ジェンティルドンナの馬券を買うつもりはこれっぽちもありませんでした。

前走のジャパンカップで期待を裏切られていましたし、

 

「引退を撤回して臨んだレースなので仕上げもイマイチだろう。初の中山だし買う要素全くなし。余裕で消し。」

 と考えていました。

 

ただ、本命不在といわれる有馬記念で一番人気のゴールドシップでも単勝3倍台。

何を買えばいいか全く分からなかったんですよね。

軸馬を悩みに悩んだ挙句、パドックを見て考えようと思ったのですが、あまりの人の多さについにパドックを見ることは出来ませんでした。

 

勝ちに徹するならばこんなレースは見送るのが正しい選択だと思うのですが、折角競馬場まで来ているのだし、買わないのも味気ないなーと思ってしまったんですね。

するとパドックから帰ってきたオッサンの声が聞こえてきました。

 

「ジェンティルは駄目だ駄目。あんなチャカチャカしてたら勝ち負けになんねーよ。」

 

ふと、ジェンティルドンナとの今までを思い出しました。

 

「あいつ今まで俺が買うと絶対走らないくせに、買わないと普通に勝つんだよなー。まぁ絶対ダメだと思うけど引退レースだし買ってやるか。」

 

気が付くとなぜか10万円分のジェンティルドンナの単勝を買っていたんですね。

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ほんとは大好きだったのよ

結果はご存じの通りジェンティルドンナの1着。3番人気で単勝オッズは8.7倍でした。

最後の直線では声を枯らしてジェンティルドンナを応援していました。

 

私は手ぶらだったので、払い戻し機から出てきた87万円は、その辺に落ちていた汚いビニール袋に入れて一緒に来ていた彼女の鞄に突っ込み、レース後に行われたジェンティルドンナの引退式を見に行きました。

 

最終レースが終わり、人がまばらになった競馬場のターフに立つジェンティルドンナを見て、周りの競馬ファンのオッサンがドン引きするのもはばからず

「ありがとー!ありがとー!ばいばいジェンティルー!!」

と号泣しながらジェンティルドンナに手を振っていました。

 

もちろん、最後に大勝させてくれたというのも大きいんですが、「出来の悪い子ほどかわいい」という言葉の通り、いつも期待を裏切られてばっかりで3冠馬という抜群の実績を持つのに人気のないジェンティルドンナのことが、ほんとは大好きだったんですね。

 

ジェンティルドンナと2014年の有馬記念は一生忘れられない思い出になりました。

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