本当にあったパチプロのはなし

ちょっと変わった経験談や、ギャンブルとの向き合い方について書いています。

第1位 新鬼武者

 

日の出る黄金の国ジパング、もとい日本において桜というのは特別な花なのです。花見で一杯、開花予想、桜餅、鈴木えみ、卒業式、入学式、キットカット、ワシントン。広く国民に親しまれている桜。その歴史はクソ古く、今から1200年以上前の平安時代には既に国内で広く親しまれており、当代の嵯峨天皇によって日本初の花見が開かれたと、そうウィキペディアに書いてありました。

 

いや知らんけどね。もしかしたら日本以外にも桜大好き国家とかあるかもしらんし、別に桜になんか興味が無い人も多いんでしょうけど、日本人、とりわけ古のスロッターにとって桜というのは大切な思い出。春先に咲き春に散る、儚い桜の花びらを見たら思い出す、そんな台があるのです。

 

僕のパチスロ人生は16歳の時、初代北斗の拳によって始まり、以来、暇を見つけてはパチ屋に入り浸っていたわけですが、21歳前後の約一年間、パチスロを全く打たなかった空白の期間がありました。当時の僕はアルバイトで稼いだ金を全てパチスロで使い果たし、たまに勝とうものなら身の丈に合わない焼肉を食いに行ったり、ウインベルマジックの最上階に泊まったり、ケンタで飯奢ったりして豪遊。宵越しの銭など持たず、幸いにして借金すらなかったものの貯金は余裕でゼロというまさに模範的スロッターだったわけですが、地元を出て上京するにあたり、引っ越し代だの敷金礼金だのが必要になり、その貯金をする為にアルバイトに勤しみ、泣く泣くパチ屋通いを自粛していたのです。

 

空白の一年を経て神戸というヤクザだらけの薄汚い港町を飛び出し、さらに薄汚い池袋という大都会に住み出した青年時代の僕は、貯金をせねばならんという重圧からも解放され、東京に友人・知人が全くいなかったこともあり孤独なパチ屋通いを再開させたわけですが、一年間でホールは様変わりしていました。パチスロ界で産業革命が起こり出玉性能が飛躍的に向上していたのです。ここでスペックやら仕様の進歩について語り出すと長くなるので端折りますけど、端的にいうと、パッとしない瓶底眼鏡の長髪黒髪女子と一年ぶりに再会したら、どエロ黒ギャルになっていたみたいな、そんな感じでした。

 

エウレカ、新鬼武者、蒼天の拳、爺サマー、リンかけ日本jr、猪木、vivaドン、アベノ橋☆魔法商店街……。個人的にはこの時代が5号機黄金期。後に登場する鉄拳デビルやらハーデス、凱旋なんかと比べると出玉性能や荒さは大したこと無いのですが、先んじた禁スロ生活の影響もあり当時の台は新鮮に見え、大好きで死ぬほど打っていました。そして、その中で一番ハマったのが「新鬼武者(2010年/ロデオ)」です。

 

今まで打った回転数を覚えているほどマメな性格ではないので推測ですが、おそらく5号機で一番打ったのが新鬼武者。たしか当時の池袋には楽園もマルハンもジャパンニューアルファもフォーションも無く、やすだ6・9、甲子園、あたりや、遊大陸、トーヨー、グリンピースなど、大中小のパチ屋による群雄割拠の戦国時代だったわけですが、その全ての店の全ての新鬼武者を打ったのではないかと思います。「全ての」というのは流石に言い過ぎかもしれませんが、いうて冗談抜きでほとんど打ったと思いますよ。あの悪名高きガイアにすら打ちに行きましたからね。そのうち九分九厘は設定1か2だったかと思われますが、ひたすら中段ベルを数えて、その確率のみを頼りに設定判別に勤しんでいた覚えがあります。まあ当然のように、幻魔にボコられまくりの負けまくり…というわけではなかったんだよなあなぜか。当時の僕は収支などという軟弱なものは付けていなかったので詳細は不明ですが、そこそこ勝てていた記憶があるんですよね。いや、勝てたというと言い過ぎかもしれなくて、実際のところはちょい負けぐらいで済んでいたんだと思います。一撃万枚でウハウハウハみたいなのは無かったんですけど、覚醒で5000枚くらい出て新しい携帯電話を買ったり、なんか知らんけど8000枚くらい出て仕事をサボったり、第一話で6000枚くらい出て歌舞伎町でたけのこ剥ぎにあった記憶があります。

 

スペック面でいうといわゆるA+ARTってやつで、ARTは1セット50ゲームの継続率管理で、ゲーム数上乗せはあるけどセット数上乗せは無くて、まあオーソドックスなタイプですよね。超普通すぎて今となっては特筆すべき点は無いんですけども、当時としてはエウレカセブンと並んで最新かつ高スペック。ARTはビッグ、レギュラーに次ぐ第3のボーナスなどと言われていました。

 

さて、新鬼武者、何が面白かったのかというと、まあ例のごとくパッとは思いつかないわけですが、とりあえずなんか面白かったんだよね。イケイケ感っていうかね。「ボタンを押すで御座る!」からの「ピーポーピー、ピーポーピー、ブィブィブィ」とかね。急にデカい燭台みたいなのが出てきてドゴーン!とかね。バケ中にちょろちょろしてる阿児とか、百鬼中の魂がしゅわしゅわしてる感じとか。テローンとか。不意に流れる浜崎あゆみとか。白ガッチャ紫ガッチャとか。ざっくり言うと演出が良かったということになるのかね。まあ細けえことはいいんだよ。面白いもんは面白いの。なんつーかなあ、完璧なんだよなあ。漫画でいうとブラックジャック。映画でいうと七人の侍。古典的名作みたいな。今現在改めて見ると、展開が予想できたり、どこかで見たような描写があったりして退屈な部分もあるかもしれないけれど、そりゃそうなんだよ。だって完璧過ぎて、完成度が高過ぎて、それゆえにパクられまくってるんだもん。

 

結局ね、桜を見たら思い出すのはなんなんのかっていう話よ。一般的な日本人の半分は鈴木えみを思い出して、残りの半分は花札の三月を思い出すんだろうけれど、我々おじさんスロッターは蒼鬼・結城秀康だよなあ。ポリゴンの荒い半笑いの結城秀康の顔と、「はにゃへろりー、さくらー」みたいなわけわかんねえ謎の歌は、たぶん一生忘れないと思うよ。

 

 

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