本当にあったパチプロのはなし

ちょっと変わった経験談や、ギャンブルとの向き合い方について書いています。

ミイラを発掘した少年の話

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今回の話の中で、何かしらの法律、ないしは条例に違反していると思われる箇所があるが、もう既に時効が成立しているし、当時の状況を鑑みても、超法規的な対応が許されうるケースだと思うのでご容赦頂ければと思う。また、一部、度し難い表現がある為、お食事中の方は終わらせてからご覧になることをお勧めする。

 

少年は学校の勉強が嫌いであったが、唯一の例外は歴史であった。それが何故なのか、正確な理由は定かではないが、おそらく幼少の頃に観た映画「インディ・ジョーンズ最期の聖戦」の影響が強かったのであろう。特に好きだったのが古代エジプト文明であり、将来は吉村教授のような考古学者になることを夢見て、毎日のように独自の発掘作業に勤しんでいた。

 

家から半径1.5kmほどの範囲内に三つの公園があり、そこを主な発掘場所としていた。鉄でできたスコップ、プラスチックのバケツ、虫かご、変な網、発掘手帳を手にそれぞれの公園に通い詰めた。

 

家から一番近かったのは通称「ハト公園」。ハトを操るポケモンマスター的なシジイが常駐していたのでこう呼んでいた。ハト公園のメリットは家から近いということで、デメリットは全く大したものが発掘できないということだった。たまに小汚いテニスボールや火薬のカケラが発掘できる程度で、少年が求めるような遺物を発掘できる機会はほとんどなかった。

 

次に近かったのが通称「プラモ公園」。公園の真ん前にプラモデルをメインとしたおもちゃ屋があったのでこう呼んでいた。プラモ公園では、軟球、スーパーボール、おもちゃのバットなど、良質の物を多数発掘できた。だがそれは、良質ではあったが遺物ではなかった。少年が求めるものはツタンカーメンのマスクであり、古代人のミイラであり、恐竜の血を吸った蚊が入った琥珀だったのだから。

 

一番遠かったのは「神社公園」。その名の通り、神社に併設された公園であった。この現場はかなり良かった。カッコいい石、綺麗な石、イカす枝、セミの抜け殻など、良質な遺物を多数発掘することに成功した。ただ、唯一にして最大の欠点は家から遠いということ。遠いだけならまだしも、超長い階段を登る必要があり、体力仕事の発掘作業をするには少ししんどかったのだ。

 

遺物の痕跡が少なく、条件的には厳しいものの家から近いハト公園か、良質な遺物が眠っている可能性はあるが、家から遠い神社公園か、バランス型のプラモ公園か。メインの発掘場所をどうするべきか考えた結果、少年はハト公園を選んだ。

 

やはり、家から近く、通勤時間が短いというのは素晴らしい。今は芳しい発掘成果が出ていないが、発掘の腕が上がるにつれ、それも改善されるだろう。

 

ハト公園に通い続ける日々。相変わらず発掘成果は今ひとつであったが、少年は充実していた。掘って埋めて掘って埋める。繰り返される日々。事件が起こったのは、いつものように発掘に勤しんでいたそんなある日のことであった。

 

特殊相対性理論によると、この世で絶対のものは光の速さのみであり、時間の速さは絶対ではない。身に覚えのある人も多いであろうが、子供の体感時間は大人よりも圧倒的に長い。また、うんこを我慢している時も平時より圧倒的に体感時間が長い。その二つが掛け合わさった時、感じる時間は宇宙の誕生から現代に至るまでに匹敵するような途方もない長さであるということは容易に想像できるであろう。端的にいうと、子供がうんこをしたくなった時、それはもう限界に近い。少年がうんこをしたくなった時も当然、限界に近かった。

 

幸い、ハト公園は家から近い。歩いて5分程度の距離である。たかが5分、されど5分。少年には5分を耐える精神力も、頑強な括約筋も備わっていない。であるならば、放つしかない。今ここで。

 

幸いにも右手にはスコップ。掘ればいい、穴を。放てばいい、そこへ。埋めればいい、後で。

 

拭いたのか拭いていないのか。とても大きな問題だと思うが、正直言って全く覚えていない。常識的に考えると拭いていないのだろう。たぶん、そんなに積極的に拭かなくても大丈夫なタイプのやつだったんだと思う。その後のことも記憶が不明瞭である。そのまま発掘作業を続行したのか、おしりを拭きに家に帰ったのか。常識的に考えると後者であろうが、少年のバカさ加減を考えると前者でも不思議はない。

 

それからどれほどの時が経ったのであろう。1ヶ月か3ヶ月か。少年は一時遠ざかっていた発掘の舞台に再び舞い戻ってきた。

 

神聖なる発掘現場にうんこをした罪悪感からなのか、単に飽きたからなのかは分からないが、一時は少年が発掘に勤しむ頻度は減っていた。だが、その火は消えることはなく、心の奥底でずっと燻っていたのであろう。

 

久々に訪れた発掘現場。そこで少年はモスラのミイラを発掘することになる。

 

モスラというのは東宝の映画に出てくる巨大な蛾の怪獣である。そのモスラの幼虫が干からびたとしか思えないような、巨大なミイラを発掘したのだ。

 

全長は10cmほどであろうか。チョウ目の幼虫、有り体に言うと芋虫のような形をしていて真っ白で干からびている。こんなデカい芋虫は見たことがない。

 

少年の胸は一瞬高まったが、同時にある気づきを得る。これは、どう考えてもこの前のうんこだと。

 

うんこを地中に放ち、1〜3ヶ月ほど放置すると干からびて真っ白になる。地中に埋めているのに干からびるという意味がよく分からないが、実際そうだったんだからしょうがない。大地に栄養を吸われ、土に帰る直前の姿だったのかもしれない。干からびて真っ白になったうんこ。それはまさしくうんこのミイラであった。

 

少年の考古学者への夢は破れたが、発掘作業は今でも度々行なっている。場所はハト公園や神社公園などといった子供の遊び場ではなく、パチンコ屋という大人の遊び場になったわけだが、今でも宝探しに勤しむ毎日を送っている。

 

 

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