「雪女と蟹を食う」、全7巻読みました。
雪女と蟹を食う(1) (ヤングマガジンコミックス)
これ、どういう漫画かというと、痴漢の冤罪で人生がメチャクチャになった男が自暴自棄になって豪邸に押し入り強盗をしたところ、その家に住む人妻がヤバいぐらいイカれてる女で、強盗を受け入れて、一緒に北海道まで蟹を食いに行く話です。
ちょっと何言ってるか分からないと思いますけど、簡単にあらすじを書くとこうなります。ちなみに微エロ有りです。
この人妻は超ヤバい奴で、最終的な目的は死ぬことなんですね。その為に強盗を引き連れ北海道に蟹を食いに行く。蟹食った後に死ぬことを固く心に誓っているので、生き急ぐように金を使い贅沢をするし、自らを汚すように強盗ともガンガンセックスをする。
意味が分かんないですね。意味が分かんないんですけど、そこには彼女なりに色々理由があったりして。まぁその理由もちょっと意味が分かんないんですけど、結構面白かったです。
で、この漫画を読んで思い出したことがあるので、今日はそれを書こうかと思います。
タイトルを付けるとするならば、「ピラニアみたいな女と伊勢海老を食う」です。語呂が悪いね。
ルパン三世のようにボンネットから煙が出た
これは大学生の話で、この前書いた話と若干時期がかぶってるんですけど、細かいことは気にしないでください。
当時、僕は日産のラシーンという車に乗っていたんですよ。ずいぶん前に製造中止になっているので知らない人も多いと思うんですけど、4WDの車で、後ろにスペアタイヤがついていて、サンルーフがついてたりして結構可愛いんですよ。
知り合いの知り合いぐらいの車屋さんから30万円で買いました。オンボロだったけど、ラシーンはコアな人気があったし、車検も丸2年残っていたので、割と良い買い物だったんじゃないかなと個人的には思っています。
ただ、そこはやっぱりオンボロ車。買ってから1年ぐらいした頃、普通に走っていたら急にボンネットから煙が出てきたんですよ。まるでルパン三世のように白い煙がモクモク出てきました。
ボンネットから煙を出しながら、何なら前輪1本ぐらいグラグラになっているんじゃないかという勢いで修理屋さんに辿り着いたところ、どうやらラジエーターが割れていて、そこから水が漏れ出し、それが水蒸気になっていると、そういう診断でした。
ラジエーターに水をつぎ足しながら走れば、短距離であればなんとかなるということで、その辺のコンビニで2Lの水を買って、知り合いの知り合いの車屋さんのところまでヨタヨタ走らせて、そこで修理をしてもらおうと考えました。ちょっと修理費安くしてくれそうだし。
煙が上がっては水を継ぎ足し、モクモクしては継ぎ足し、2Lがちょうど無くなるぐらいのところで知り合いの知り合いの車屋さんにたどりつきました。
事情を説明したところ、預かってもらって点検してもらうことになりました。古い車だからラジエーター以外もイカレてるかもしれないし、色々見てみるよーみたいな感じかな。
ということは代車が登場するわけなんですけど、そこは知り合いの知り合い、気を利かせてちょっとイイ車を貸してくれたんですね。それがBMWの3シリーズ。細かい型番とかは覚えていないんだけど、右ハンドルで黒塗りのクーペ。
まぁショボい車屋にあるぐらいだから、古い型落ちだし、大した値段ではないと思うんだけど、それでも一応BMWなんですよ。カッコいいじゃないですか。当時19歳とか20歳ぐらいですからね。外車=カッコいいお年頃なんですよ。
ピラニアみたいな女を誘う
念願の外車を手に入れました。手に入れたっていうか代車なんですけど、一時的には僕のものなわけです。そんなの遠出するしかないじゃないですか。
どこに行こうかなーどこに行こうかなーと考えたんですけど、伊勢神宮に行くことにしました。なんで伊勢神宮なのかは正直全然覚えてないなくて、たぶん赤福のCMを見たとか、急に海老の怪異が現れたとか、そんな感じだと思います。
ちなみに僕は当時兵庫県に住んでいて、伊勢は車で3時間ぐらいの距離です。一人でそんなに運転するのは寂しいので、ピラニアみたいな女を誘うことにしました。
「ピラミアみたいな女」といちいち書くのが面倒なので「ピラ子」にしましょうか。
ピラ子は当時まぁまぁ仲が良かった同い年の女の子で、幼児教育系の女子大に通う学生です。名前の通り、顔がピラニアに似ています。なんか怖え顔してるんだよ。あんなのが幼稚園の先生だったらだいたい初手は泣かれるぜ。
可愛いか可愛くないかと言われると、別に可愛くはありません。だってピラニアよ。でも僕はピラ子のことが結構好きでした。
初めてピラ子の家に泊まった時に、訳あって長時間部屋から出れなくなり、しょうがないのでディズニーランドのお土産でよくあるチョコレートクランチの缶におしっこをしたら、ピラ子はクソ笑っていました。いい女ですね。
ピラ子に電話をして、「2泊ぐらいで伊勢いこうぜ!」と誘うと、二つ返事でOKが出ました。問題はいつ行くかという話なんですけど、代車だからすぐ返さないといけないのでそんなに時間はありません。
いつ行くのか?今でしょ!
ということで、電話した翌日にピラ子の家に迎えに行って、そのまま伊勢に行くことにしました。
伊勢に着く
ピラ子の家を出てから3時間後、無事、三重県伊勢市に到着しました。
伊勢に何があるのかというと、もちろん伊勢神宮なんですけど、それ以外は特に何もありません。伊勢を訪れる人の8割は伊勢神宮で、残りの2割はパチ屋のオールナイトなんじゃないのかというぐらい何もありません。
伊勢についたのは確か夕方の5時ぐらいで、ちょっと早いんだけど、どこにも行くところが無いのでご飯を食べに行くことにしました。
伊勢といえば、当然、伊勢海老なんですよ。
なんか伊勢海老を出してくれそうなご飯屋さんがないかなーと思って伊勢駅の周辺をうろついていると、海鮮系っぽい飯屋を発見したのでそこに入ることにしました。
入った瞬間、あれ?と思って、メニューを見て確信しました。ここには伊勢海老はねーなと。僕らが訪れたのは庄やだったんですよ。あの居酒屋チェーンの庄やね。
庄やって兵庫県には無かったんですよ。あったかもしれないんだけど、僕らの生活圏には無かったのよ。大阪とか京都にはあったらしいんだけど、そんなん知らんからね。
別に庄やがマズいとかそういう話じゃなくて、むしろチェーンの居酒屋だと美味しい方だと思うんですけど、残念ながら伊勢海老は無いんですね。まぁガッカリですよ。せっかく3時間もかけてやってきたのに。
ピラニアみたいな女と伊勢海老を食う
その日はラブホテルに泊まりました。その夜話したんですよ。将来のことについて。
さっき書いた通り、ピラ子は幼児教育系、つまりは保母さんになる為の女子大に通っていました。保母さんって今は言わないのかな。まぁいいや。別に他意はないから見逃してくれ。それで幼稚園に研修みたいなのに行っていて、超ダルいけど、楽しいから向いていると思う。で、あんたは学校卒業したらどうすんの?みたいな話。
僕はその時、将来のことについてはなーんも考えてなかったんですよね。ただ漠然と「働きたくねーなあ」とは思っていました。一生遊んで暮らしたいなぁみたいな。その時の自分に言ってやるとしたら、お前の夢はかなうけど、それはロクなもんじゃねーぞと言ったところですかね。
翌日、伊勢神宮に行きました。
伊勢神宮については、なんかメチャクチャデカい神社だなぁということぐらいしか覚えていません。信仰心なんざ欠片も持ち合わせていないんでね。そのくらいの感想しかないよ。
夜は伊勢海老を食いました。店はピラ子が探してくれました。伊勢海老は美味かったと思うんだけど、あまり味は覚えていません。まぁデカい海老ですね。
ちょっと東京行ってくる
それから何となくピラ子と会うことはなくなりました。別に理由があったわけではないんだけど、会う機会が無くなりました。
それから2年経って、僕が大学を卒業して東京に出発する前日に2年ぶりにピラ子に会って、新神戸駅の近くのラブホテルに行ってセックスをしました。ピラ子は相変わらずピラニアみたいな怖い顔をしていました。
地元には22年間住んでいて、そらまぁ色々ありました。女もいっぱいいました。可愛い子もいっぱいいました。でもその中で、22年住んだ土地からおさらばする時に、最後に会ったのはお前なんだぜピラ子。
ピラニアみたいな顔をしていて全然可愛くなくて、ヤンキーだし、俺よりキツいタバコ吸うし、刺青入ってるし、女のくせにXJR乗ってるし、あんま良い所はないんだけど、それでもピラ子はいい女でした。
おわり
雪女と蟹を食う(1) (ヤングマガジンコミックス)
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