本当にあったパチプロのはなし

ちょっと変わった経験談や、ギャンブルとの向き合い方について書いています。

タイ人っぽいババアに学ぶ海物語(エンドレスババア その1)

何かがおかしい。なんとなく、そんな気がした。

 

視界の端に映るババアは俺とは縁も全くないタイ人っぽいババァだが、ボタンを連打する音がうるせえなと思っていると、これまたなんとなく、遊タイムをスルーしそうな気がした。

 

今打っているのは大海SPで、遊タイムに到達するまでに残り150回転、到達してから時短が350回転、計500回転以内に319分の1を引けばいいわけで、その確率は約79%。実に五回に四回は当たるわけである。ごくごく普通の確率であり、これまた実にごくごく凡庸で、平々凡々たる普通の極みにいるようなこの俺が、その確率を引けないほうがおかしいのだ。

 

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確率とオカルト 

そもそも「スルーしそうな気がする」というのも不思議な話である。腐っても俺はパチプロの端くれなわけで、数字と自身の見立てを基に立ち回っているのだから、そんなオカルトチックな気持ちを気にする必要は一切無い。

 

海物語の島には老老老若男女女ぐらいの割合で老女が跋扈しており、彼女たちは自分の信じる立ち回り、例えば魚群占いで金魚群が出た台を狙ったり、両手のはためきで魚群を呼んだり、ボタンを鬼のように連打したりといった、いわゆるオカルト打法を確立している。それを間違っているというつもりは到底ないが、勝つことを念頭に置くのであれば、非常に優先度の低い立ち回り方法だと言わざるを得ないだろう。

 

さて、横のタイ人っぽいババアだが、見事に確変大当たりを射止めたようで、相も変わらずボタンを連打し続けており非常にうるさい。

 

現行機種にも搭載されているのかは知らないが、海物語シリーズにはリーチした後に図柄が通過するタイミングでボタンを押すと、当たっている場合のみ音が鳴ったり、シリーズによっては演出が変化するという機能があって、事実上これが最速の当たり察知なので、いわゆるガチ勢の中にもボタンを連打する人はいるにはいる。

 

だがしかし、このババアはパチンコで飯を食っているタイプのババアではなく、パチンコをあくまで娯楽として楽しむ、健全で、あくまで普通のタイ人っぽいババアだ。彼女なりの攻略法として、あるいはストレス発散としてボタンを連打しているだけであろう。

 

対照的なふたり

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さて、そうこうしているうちに遊タイムに突入した。その間、タイ人のババアは3連荘した時短の後すぐに引き戻し、4連荘目に差し掛かろうかというところであった。出玉はざっくり1万発といったところか。

 

その間、そのババアは400回はくだらないのではないかというほど、ひたすらボタンを連打し続けていた。二回目の初当たりからは、ボタン連打に加えて手招きも付け加えられている。手を右から左に送ることで、魚群を呼び込んでいるのであろう。

 

まぁ隣のババアの台など俺には全く関係の無い話である。自分の台に集中しよう。

 

玉に魂を込める

海物語の時短は止め打ちがかなり有効であり、その手順はスルー、寄り周りの釘や、ヘソに入る個数によって若干異なる為、突き詰めていくとかなり面倒くさい。その為、ババアの状況をチェックする余裕はあまり無いのだが、台から垂れ流される音量3のマリンちゃんのセリフから察するに、かなり連荘は続いているようである。

 

残り200回、100回、50回…。遊タイムのリミットが迫る。

 

残りが何回だろうが、俺は最後の最後まであきらめない。それがハンターだ。事実、残り12回転で当たったこともある。

 

パチンコというのは、スロットと違い、心でどうにかなる部分がある。スロットの場合、レバーを叩いた瞬間に抽選されるわけで、そこに心を差し込む猶予はないのだが、パチンコはハンドルを捻ってから玉がヘソに入るまでには幾ばくかの猶予があり、一玉一玉に自らの魂を乗せることができる。

 

一玉一玉を大切に、心を込めて打ち出していく。

 

最後の一玉…

が、ダメ。ひたすら魚どもが横スクロールしていくばかりで、ろくにリーチすらかからない。

 

残り20回、10回、5回…そしてラスト。

 

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「ざんねーん!」

 

音量2のマリンちゃんがそう叫び、最後の保留の光がフッと消えていった。

 

無情にも、今回の遊タイムでは当たりを引くことはできなかった。

 

「ち、ちくしょーめ!」

 

そう捨て台詞を吐いた俺は、スッと席を立ち、少し早いが家路につくことにした。タイ人っぽいババアの連荘はまだ続いていた。

 

 

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